おはなし会はこうする

 NPOからだフシギの「からだ先生研修会」に参加された“からだ先生”が、100名を超えました。多くの方に、からだの話しの読み聞かせをしていただきたいのですが、おはなし会の実際をもう少し詳しく知りたいという要望を多数いただいています。そこでこれまで培ってきたおはなし会の実際について、お伝えしたいと思います。今回は1版(V. 1)としてお届けします。

第1版公開日:2019年3月11日

1.基本教材は「わたしのからだ」です

「わたしのからだ」は8テーマに分けた体のお話しで、絵本と紙芝居があります。絵本は12ページ、紙芝居は8枚です。8つのテーマは以下のとおりです。

・たべもののとおりみち―消化器系―

・かんぞうとすいぞう―肝臓と膵臓―

・すってはいて―呼吸器系―

・ちとしんぞう―循環器系―

・おしっこのはなし―泌尿器系―

・ほねときんにく―運動器系―

・のうとしんけい―神経系―

・おとこのこおんなのこ―生殖器系―

2.おはなし会のやり方は色々です

読み聞かせには、絵本でも紙芝居でも3~5分しかかかりません。もちろん、子どもたちの反応や問いかけを入れて、時間をかけるのも自由です。

子どもたちの様子を見て、隙間の時間に読み聞かせるのが、AタイプとBタイプです。計画的に運用するにはCタイプと、質問タイム(わかったかな)を設けるDタイプがあります。1回目の質問タイムの後に休憩を入れて、Dタイプを繰り返すこともできます。この場合、1回のおはなし会は2テーマまでがよさそうです。

Aタイプ

・絵本または紙芝居

Bタイプ

・手遊び

・絵本または紙芝居

Cタイプ

・からだフシギの歌

・手遊び

・絵本または紙芝居

・体験しよう

・からだフシギの歌と踊り

Dタイプ

・からだフシギの歌

・手遊び

・絵本または紙芝居

・体験しよう

・質問タイム(分かったかな?)・フリートークでも

・からだフシギの歌と踊り

3.テーマの選び方は自由です

8テーマの話の順番は決まっていません。年間で8テーマのからだの話をするならば、季節の行事や子どもたちの体の様子を見て、予定できるのではないでしょうか。その組み合わせの例を以下にお示しします。

行事との組み合わせや気を付けたいこと テーマ
 運動会

ほねときんにく

のうとしんけい

             

プール遊び

おとこのこ、おんなのこ

冬の寒さや風邪の季節

すってはいて

子どもたちはうんち・おしっこが大好き。普段から見ているものなので、分かり易いです。導入に使うのに適しています。

たべたもののとおりみち

おしっこのはなし

心臓は見えないのですが、大抵の子どもは知っていますので、いつでもOKです

ちとしんぞう

「ほねときんにく」「たべもののとおりみち」が終わってからの方がいいです

かんぞうとすいぞう

4.Dタイプのおはなし会の実際(「たべもののとおりみち」を例にして)

おはなし会全体で、20~30分が目安ですが、子どもたちの反応がたくさんあると、40分位があっという間に過ぎることもあります。

おはなし会は、5名から20名程度でやっています。ここでご紹介するからだTシャツでの体験は、20名の場合、3つのグループに分かれて7〜8人にして、全員が触れるようにしています。

プログラム

時間

内容 物品

 からだフシギの歌

         

2分

  

からだフシギのテーマソングをかけることで、からだのおはなし会だとわかってもらいます。

 からだフシギのCD、CDカセット    

手遊び

2-3分   子どもたちに集中してもらうのに、手遊びが有効。テーマに合わせたものを選んでください。このテーマでは、”おべんとうばこ”が似合います。  

絵本または紙芝居

3-5分 「たべたもののとおりみち」の読み聞かせ 絵本または紙芝居

体験しよう

10分 からだTシャツを使って食べ物の通り道(食道、胃、小腸、大腸)を復習します。その他の肺、心臓、肝臓なども子ども達と確認します。そのあとTシャツから臓器を取り外して、触って遊びます。小腸の長さが3人分を試すのもいいでしょう。遊んだあとは、子どもたちにTシャツにもどしてくっつけてもらいます。 からだTシャツ    

質問タイム

(わかったかな)

または

フリートーク

2分   子どもたちに「質問がある人いますか」と問いかけます。答えられる質問には答えます。答えられない場合は、「本当だね、不思議だね、でもそれはからだ先生も知らないな」と返してあげてください。答えなければいけないのではなく、子どもの疑問を一緒に不思議がることが大事です。子ども達の疑問には、絵本セットの解説本が参考になるかもしれません。    
からだフシギの歌と踊り 2分 からだフシギの歌と踊りを子どもたちと一緒に踊ります

からだフシギCD、CDカセット、

歌と踊りはYou Tubeで公開しています。

5.手遊びの例

保育関係者の方はよくご存知と思いますが、こんな手遊びを使っています。手遊びについては、保育関係の書棚を見ていただくと色々ありますので、ご参照ください。

  • お弁当ばこ 
  • ごんべえさんの赤ちゃん
  • 大きな太鼓・小さな太鼓
  • あたまかたひざポン
  • げんこつ山  

6.体験しようの例

テーマ 体験しよう
 ほねときんにく  

①体の固いところクイズ

体の固いところはどこかを問いかけて、子どもの答えがあったら、その骨の中に何があるか、あるいは何をしている骨か、一緒に考えます。

  • あたま:頭の骨の中には脳がある
  • 背骨:背骨の中には脊髄がある。背中をまっすぐ伸ばして立っていられる
  • 肋骨:背中から胸に細い骨が籠のようになっている。中には肺と心臓がある
  • 腰骨:腸をささえているよ
  • 足や手の骨:歩くのにも、ご飯を食べるのにも、使っているね。筋肉と一緒に働いている

②タペストリーわたしの骨(市販のもの)

タペストリーを使って、骨の形や位置、名前を見せ、その後子ども一人ひとりに、骨1つずつを手に取ってもらい、皆で組み立て直します。

のうとしんけい

①お豆腐落下実験

脳はお豆腐のように柔らかいので、お豆腐のように水と骨に守られているという話しから、タッパーを骨、水を脳脊髄液、豆腐を脳に見立てます。水が入っている豆腐と水のない豆腐では、振ったとき(落としたとき)、崩れ方に差があります。水があっても強く振ると豆腐が壊れます。水と骨が脳を守っていること、水があっても強く振ったり叩いたりすると、脳が傷つくことが納得できる体験です。

(必要物品:タッパー2個、木綿豆腐1丁)

 

②糸電話

 

神経が糸電話のように次々と情報を伝えていく話があります。それを糸電話で試してみようという体験です。(必要物品:紙コップ、糸)

すってはいて

①大きな息をしてみよう

両手をお腹にあてて、大きな息をする。息を吸ったとき、お腹がふくらんだかな? お腹を引っ込めながら息を吐いてみよう。

おしっこのはなし

①おしっこの色

ペットボトルで、濃いお茶の色と薄い色を準備して、汗を一杯かいた日のおしっこの色と水をたくさん飲んだ後のおしっこの色の違いをみせます。

②おしっこの量

牛乳パック(子ども達に500cc、1リットルなどの量が分かり易いもの)を見せて、おしっこの量をイメージします。

ちとしんぞう

① 聴診器で心臓の音を聞く

おもちゃの聴診器では心臓の音はなかなか聞こえません。これは本物の聴診器がいいです。聴診器の使い方を教えて、子ども同士で胸の音を聞き合います。親子参加の時は、親子で互いに聞いてもらいますと、驚きと喜びが静かに広がるのがよくわかります。生きている証の心臓のドクドクという音を是非聞かせたいと思っています。

(必要物品:聴診器)

聴診器がない場合、胸に耳を当てても聞こえます。

② 脈を触れる

親指の付け根、くるぶし高さの足の甲で、自分の脈に触れてみると、これも心臓が動いている証拠だと話してあげられます。探すのが難しいときは、大人が一緒に探してあげましょう。利き手の人差し指、中指、薬指の3本を揃えます。反対の手は掌を上に向けて、少し甲の方に曲げます。3本の指を腕の親指の付け根に当てます。

7.「みんな違ってみんないい」のメッセージを

 からだ先生研修会でよくいただく質問に、アレルギーのある子どももいるので何でも食べようというメッセージは出せない、病気がある子どもなど絵本の通りではない場合がある、どうしたらいいかというものがあります。

 わたしのからだの絵本は、土台の土台といっていい程度の基本事項だけで作ってあり、様々な違いについては、述べていません。一番多い例が載っていると考えていただき、違う例もたくさんある事を、読み聞かせの中で、あるいは終わった後に、気がつかせてあげて欲しいと思っています。

 その時、金子みすゞの歌にある、「みんな違ってみんないい」を伝えていただけたら嬉しいと思っています。

 

 

私と小鳥と鈴と (金子みすゞ作)

私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、

飛べる小鳥は私のように、地面(じべた)を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、

みんなちがって、みんないい。

 

8.教材のお求めは

 なお、からだTシャツは販売していませんが、現在型紙を作成中です(乞うご期待)。

 からだフシギのCDも準備中です。